
結論:変動金利0.5%台なら、今は「NISA優先」が有利になりやすい
住宅ローン金利より期待リターンが上回る場合、数学的にはNISAが有利です。 ただし2026年時点では金利水準・住宅ローン控除の残年数・家計の手元流動性の三つが判断軸になります。

繰り上げ返済とNISA、何が違う?
繰り上げ返済は「確定した利息の節約」、NISAは「期待リターンの積み上げ」です。 リスクの性質がまったく異なるため、単純に利回りだけでは比べられません。

試算:ボーナス50万円を3パターンで比べると?
前提条件:残債3,000万円・残期間25年・変動金利0.6%・住宅ローン控除残7年・世帯年収900万円(共働き)
| 使い道 | 10年後の試算効果 | 主なリスク |
|---|---|---|
| 全額繰り上げ返済 | 利息削減 約17万円確定 | 手元資金が減る |
| 全額NISA(年4〜5%想定) | 運用益 約31〜38万円(非課税) | 元本割れの可能性あり |
| 半々(25万円ずつ) | 利息削減 約8万円+運用益 約16〜19万円 | 中程度のバランス |
※NISA運用益は年率4〜5%の長期平均を参考にした試算値。将来の利回りを保証するものではありません。
変動金利0.6%の実質コストは、住宅ローン控除(0.7%控除)の適用中はほぼゼロ以下になるケースもあります。 控除期間中に繰り上げ返済すると、元本が減って控除額まで小さくなる「二重の損」になりかねません。
住宅ローン控除が残っている間は繰り上げ返済が不利な理由
控除期間中は繰り上げ返済で控除額が減るため、実質金利はさらに下がります。
控除額の計算式:年末残債 × 0.7% = 控除額(所得税・住民税から直接差し引かれる)
残債を早く減らすと控除額も下がるため、控除期間が終わるまでは繰り上げより運用を優先するほうが合理的です。
「金利が上がったら話が変わる」は本当か?
変動金利が1.5%を超えてくると、NISAの期待リターンとの差が縮まり始めます。 先日ご相談に来られた30代の共働きご夫婦(未就学児お二人)は、「金利が1%を超えたら繰り上げ返済に切り替える」というルールをあらかじめ決めて、それまでNISAを積み続ける設計にしました。 このように判断のトリガーをあらかじめ決めておくと、ボーナスのたびに迷わなくて済みます。
共働き世帯が見落としがちな「手元流動性」の問題
繰り上げ返済は一度実行すると、その資金は取り戻せません。 育休・転職・急な支出など収入が不安定になりやすい子育て世代は、生活費の6か月分を確保したうえで余剰資金を判断することが最低ラインです。
どちらが「あなたに合うか」の判断チェック
- 変動金利が0.8%未満かつ控除期間中 → NISA優先
- 変動金利が1.5%超または控除終了後 → 繰り上げ返済を検討
- 手元資金が生活費6か月分未満 → どちらも待って流動性を確保
「どっちか一択」ではなく、金利と控除の残年数を確認してから配分を決めるのが正解です。
よくある質問
Q. 住宅ローン控除の残年数はどこで確認できますか?
A. 毎年秋に税務署から届く「住宅借入金等特別控除額の計算明細書」か、確定申告の控えで確認できます。会社員の方は年末調整の書類で残年数が記載されています。
Q. NISAは途中で引き出しても非課税のまま使えますか?
A. はい。NISA口座の売却益・分配金は非課税で、いつでも引き出せます。ただし売却した枠は翌年以降に再利用可能となります(翌年に枠が復活する仕組み)。
Q. 繰り上げ返済には「返済期間短縮型」と「返済額軽減型」がありますが、どちらが得ですか?
A. 利息削減効果が大きいのは期間短縮型です。ただし毎月の家計を楽にしたい場合は返済額軽減型が向いています。家計の余裕度で選びましょう。
Q. 変動金利が上昇した場合、すぐに繰り上げ返済に切り替えるべきですか?
A. 金利が急騰しても、住宅ローンの「5年ルール・125%ルール」で返済額はすぐには増えません。焦って売却・繰り上げするより、まず返済計画に影響が出るかをシミュレーションしてから判断することをおすすめします。



