
「子ども名義じゃないと意味がない」——その思い込みが教育費を損させる
「ジュニアNISAをやりそびれました。もう手遅れですか?」 相談室でこう聞かれるたびに、私は同じ答えを返す。全然、手遅れじゃない。むしろラッキーかもしれない、と。
2023年末でジュニアNISAの新規購入は終了した。 だが、代わりに2024年からの新NISAは年間360万円・生涯1800万円という破格の枠を持つ。 子ども名義へのこだわりを手放した瞬間、教育費運用は一気にシンプルになる。

結論:今から積み立てるなら親のNISA(つみたて投資枠)一択に近い
2024年以降、子ども名義で非課税運用できる制度は存在しない。 未成年の証券口座は特定口座のみで、運用益に約20.315%の税金がかかる。 親のNISAなら利益がゼロ課税、引き出しはいつでも自由、使いみちも縛られない。 子どもの教育費として使おうが旅行に使おうが、制度上は完全に親の裁量だ。

親のNISA vs 特定口座——数字で見れば一目瞭然
| 比較項目 | 親のNISA(つみたて投資枠) | 特定口座 |
|---|---|---|
| 年間上限 | 120万円 | 上限なし |
| 運用益の税金 | 非課税 | 約20.315%課税 |
| 引き出し自由度 | いつでも可 | いつでも可 |
| 教育費への転用 | ◎ 自由 | ◎ 自由 |
| 名義 | 親本人 | 親本人 |
特定口座は「NISAの枠を使い切った後の上乗せ用」と割り切ればいい。 まず親のNISAを埋める。それが鉄則だ。
「子ども名義にしたい」は税務リスクを招く
子ども名義で口座を開いて親が運用——この構造には落とし穴がある。 親が実質的に管理している資金は「名義預金」と見なされ、贈与税の対象になるリスクがある。 年110万円の基礎控除内であっても、実態が親の管理なら否認されるケースは実務上ある。 名義だけ子どもにして中身は親が動かす、という構造は避けるのが無難だ。
実際の相談事例:共働き夫婦が年240万円の枠を動かした話
先日相談に来た30代の共働き夫婦は「ジュニアNISAを使いそびれた。子が2人いて不安」という状況だった。 提案したのはシンプルな一手——夫婦それぞれのつみたて投資枠(年120万円×2=年240万円)で全世界株インデックスを積み立てるというプランだ。 子どもが12歳・15歳になる年に必要額を売却して教育費に充てるスケジュールを設計した。 「子どものための口座じゃないと意味がない」という先入観を捨てた瞬間、話がすっと動き出した。
教育費運用で唯一押さえるべきルール:「使う年」から逆算せよ
教育費は使う時期が決まっている、いわば「締め切りのあるお金」だ。 株式100%のまま進学直前に暴落したら目も当てられない。 最初から現金化スケジュールを組み込むことが、リターン最大化より100倍重要だ。
- 残り5年以上:全世界株・先進国株インデックスで積み立て継続
- 残り2〜3年:一部を債券ファンドや現金に移し始める
- 残り1年:必要額を確定させ、現金化完了
「増やす」より「使えるようにする」を優先する。これが教育費運用の本質だ。
よくある質問
Q. ジュニアNISAで保有している分はそのままでいい? A. はい。2023年以前の購入分は継続管理勘定で18歳まで非課税保有できる。焦って売る必要は一切ない。
Q. 学資保険と親のNISA、どちらが教育費向き? A. 返戻率と流動性の両面で、多くのケースでは新NISAが有利になりやすい。ただし「絶対に元本を減らしたくない」という方には学資保険も選択肢になる。
Q. NISAで運用した分を教育費に使うと税金はかかる? A. かからない。NISA口座内の利益は非課税で、売却して現金化しても課税されない。
Q. 夫婦どちらのNISAで積み立てるべき? A. 所得が高い方・枠が余っている方を優先するのが基本。両方の枠が使えるなら夫婦で積み立てるのがベストだ。

