
「ローンを払い終えた家は"上がり"。あとは住むだけ」——そう思っていませんか。
先日ご相談に来られた千葉の58歳のご夫婦も、まさにそうでした。でも、家は「住まい」であると同時に、あなたの家計でいちばん大きな**"動かせる資産"です。売る予定がなくても、"今いくらか"を知っているかどうか**で、これからの老後のお金の打ち手はまるで変わります。
この記事では、①持ち家を「資産」として見直す視点、②出口(住み続ける・住み替える・遺す)を知ると何が変わるか、③今日できる最初の一歩を、FPの相談現場の目線でお話しします。「そのうち考える」がいちばんもったいないんです。

なぜ「売る予定がない」人こそ、家の値段を知るべきなの?
結論:家の価値は老後資金の"隠れた最大項目"だから。知らないまま設計するのは、通帳を見ずに家計を組むのと同じです。
50代の家計相談で、預金・退職金・年金見込みはスラスラ出てくるのに、「ご自宅、今いくらだと思います?」と聞くと、多くの方が「…考えたこともなかった」と止まります。
でも千葉の住宅地でも、買った当時と今とで価格が数百万円単位で動いていることは珍しくありません。ここが"見えない"ままだと、こんなことが起きます。

持ち家の「出口」は3つ。あなたはどれを選べる状態?
結論:出口は「住み続ける/住み替える/遺す」の3つ。どれが得かは、今の価値を知って初めて比べられます。
家の出口は、突き詰めるとこの3つしかありません。それぞれで、お金の論点がまったく違います。
<table> <thead> <tr><th>出口</th><th>どんな選択</th><th>お金の主な論点</th></tr> </thead> <tbody> <tr><td>住み続ける</td><td>今の家で暮らし続ける</td><td>維持費・修繕積立・固定資産税をいつまで払えるか</td></tr> <tr><td>住み替える</td><td>売って小さい家・利便地へ</td><td>売却価格-ローン残債=手残り。譲渡益の税金</td></tr> <tr><td>遺す(相続)</td><td>子や家族へ引き継ぐ</td><td>相続税評価・分けにくさ・空き家化のリスク</td></tr> </tbody> </table>大事なのは、3つのどれを選ぶにしても「今いくらで売れそうか」が判断の共通の土台になるということ。土台の数字がないと、家族会議も「なんとなく」で終わってしまいます。
「今いくら」を知ると、老後のお金の何が変わる?
結論:家の価値が"見える数字"になると、老後資金の不足も余裕も、初めて現実的に計算できます。
さきほどの58歳ご夫婦の例で考えてみましょう。
- 自宅の想定売却価格:おおよそ2,800万円
- 住宅ローン残債:400万円
- ざっくりの手残りイメージ:2,800万円 - 400万円 = 約2,400万円(※諸費用・税金は別途)
この「2,400万円」という数字が見えた瞬間、ご夫婦の表情が変わりました。「じゃあ、70歳で駅近のコンパクトな家に住み替えれば、老後資金にこれだけ足せるのか」と、不安が"作戦"に変わったんです。
逆に、この数字を知らないままだと、「足りるのか、足りないのか」がずっと霧の中。お金の不安の正体は、たいてい"金額が見えていないこと"そのものなんです。
「うちの実家、今いくらなんだろう」——そう思ったら、まずはそっと調べてみるところから。ウチカクAI(匿名・不動産AI査定)なら、住所だけ・無料で、国土交通省のデータをもとにした"参考価格"がその場でわかります。相談する前の"下調べ"にちょうどいい一歩です。
売るときの税金、「3,000万円まで非課税」ってホント?
結論:マイホームを売った利益は、条件を満たせば3,000万円まで控除できます(国税庁の特例)。ただし住宅ローン控除との"併用"に落とし穴があります。
マイホーム(居住用の家屋)を売って利益(譲渡所得)が出たとき、一定の要件を満たせばその利益から最高3,000万円を差し引ける特例があります。これが「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除」です(国税庁 タックスアンサー No.3302)。
多くのご家庭では、この3,000万円控除のおかげで売却益への税金が実質ゼロになります。ここは安心材料です。
ただし、知らずに損をしやすいのが住宅ローン控除との関係。国税庁は、次の家を買って住宅ローン控除を受けたい場合について、こう明記しています。
入居した年、その前年または前々年に、このマイホームを売ったときの特例の適用を受けた場合には、(住宅ローン控除の)適用を受けることはできません。(国税庁 No.3302)
つまり、「売って3,000万円控除」と「買って住宅ローン控除」は、時期が重なると両取りできないことがあるんです。住み替えを考えるなら、どちらが得か"順番と年"まで含めて事前に試算しておくのが安全です。
なお、売却益にかかる税率は所有期間で変わります。売った年の1月1日時点で所有期間が5年を超えていれば「長期譲渡所得」となり、税率は所得税・住民税あわせて約20.315%(復興特別所得税を含む)です(国税庁 No.3208)。長く住んだ家ほど、税率の面では有利になりやすい、と覚えておいてください。
実家を相続した人へ。「空き家」は持っているだけで損が増える?
結論:使わない家でも、固定資産税や維持費は毎年かかり続けます。"とりあえず持っておく"が一番コストのかかる選択になりがちです。
親の家を相続したものの、誰も住まず、売るでも貸すでもなく——という「実家の空き家」は千葉でも本当に多いです。
住んでいなくても、固定資産税・都市計画税、火災保険、たまの通気や庭の手入れなど、維持コストは毎年出ていきます。さらに、空き家は傷むのも早く、時間がたつほど売りにくく・安くなりやすい。「そのうち考える」が、実は静かに損を積み上げていることが少なくありません。
だからこそ、相続した家もまず"今の価値"を把握して、住む・貸す・売るを早めに家族で決めるのが得策です。感情の整理には時間が必要ですが、お金の判断は数字を見てからのほうが、みんな納得しやすいものです。
今日できる第一歩は?
結論:「売る/売らない」を決める前に、まず"今いくらか"の当たりをつけること。ここから全部が始まります。
やることはシンプルです。
- 自宅(または実家)のおおよその今の価値を調べる(まずは匿名・無料でOK)
- 住宅ローンの残債を確認する
- 「価値 - 残債」で手残りの当たりをつける
- その数字を持って、住み替え・相続・老後資金の順番をFPと整理する
いきなり不動産会社に連絡すると身構えてしまいますよね。だから最初は、自分でそっと調べるくらいがちょうどいい。実際の取引価格は国土交通省の「不動産情報ライブラリ」でも公開されていますし、住所だけで参考価格がわかるアプリを使えば、数分で"当たり"がつきます。
よくある質問(FAQ)
Q. 売る予定がなくても、家の値段を調べる意味はありますか? A. あります。売る・売らないを"選べる状態"にするためです。価値がわかって初めて、住み続ける・住み替える・遺すを同じ土俵で比べられます。
Q. 家を売って利益が出たら、税金はどのくらいかかりますか? A. マイホームなら3,000万円特別控除で税金が実質ゼロになるケースが多いです(国税庁 No.3302)。控除しきれない分は、所有5年超なら約20.315%の長期譲渡所得税がかかります(国税庁 No.3208)。
Q. 家を売った年に、次の家で住宅ローン控除は使えますか? A. 3,000万円控除を受けた年・その前年・前々年に入居した住宅では、住宅ローン控除を受けられません(国税庁 No.3302)。時期の重なりに注意し、どちらが得か事前に試算しましょう。
Q. 実際の売却価格は、どこで調べられますか? A. 国土交通省の「不動産情報ライブラリ」で、実際の取引価格や地価公示を無料で確認できます。まずは相場感をつかむのに役立ちます。
Q. 相続した実家を空き家のままにすると、何が問題ですか? A. 住んでいなくても固定資産税や維持費が毎年かかり、建物は傷んで売りにくくなりがちです。早めに"今の価値"を把握し、住む・貸す・売るを決めるのがおすすめです。
Q. 何から始めればいいですか? A. まず自宅・実家の"今いくら"の当たりをつけること。匿名・無料で調べられます。その数字を持ってFPに相談すると、老後資金の設計が一気に具体的になります。
あなたの家、今いくら?——まずは"そっと"調べてみませんか
「相続したあの家、いくらだろう」「うちを売ったら、いくら残るんだろう」。その第一歩は、不動産会社に電話することではありません。自分で、静かに調べることです。
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