
結論:完済後も「持ち家は無料」ではない。賃貸との差は月3〜5万円が目安
住宅ローンが終わっても、マンション保有は月2〜5万円前後のコストが残ります。 一方、賃貸は同条件なら月7〜10万円の支出。純粋な家賃比較では持ち家が有利になりやすいです。 ただし、修繕・介護・売却可能性を加味すると話は変わります。順に整理しましょう。

完済後も残るコスト、実際いくら?
**完済後も消えないのが「固定費三兄弟」**です。
| コスト項目 | 目安(月額換算) | 備考 |
|---|---|---|
| 管理費 | 1〜2万円 | マンション共用部維持費 |
| 修繕積立金 | 1〜2万円 | 築古ほど値上がりしやすい |
| 固定資産税 | 0.5〜1万円 | 年6〜12万円を月割り |
| 大規模修繕の自己負担 | 0〜0.5万円 | 積立が不足すると別途請求 |
| 合計 | 月2.5〜5.5万円 |
固定資産税は「土地・建物の評価額×1.4%」が基本税率で、都市計画税が加わる地域もあります。
先日ご相談に来られた60代前半の女性は、都内マンションを58歳で完済。 「やっとローンが終わった」と思ったら、修繕積立金の大幅値上げ通知が届き、月1.8万円が3.2万円に。管理費と合わせて月5万円超の固定費が残り、「賃貸と比べてどうなの?」と悩まれていました。

賃貸のコストと比べると?
同エリア・同広さ(60㎡程度)の賃貸相場を月8万円と仮定すると、以下になります。
| 持ち家(完済後) | 賃貸 | |
|---|---|---|
| 月額コスト | 2.5〜5.5万円 | 7〜10万円 |
| 10年総コスト | 300〜660万円 | 840〜1,200万円 |
| 資産性 | 残る(売却可) | なし |
| 住み替え自由度 | 低い | 高い |
10年スパンで見ると持ち家が400〜600万円ほど有利になりやすいです。 ただし、この試算には大規模修繕の追加徴収・売却時の仲介手数料は含んでいません。
おひとりさまが賃貸を選ぶべきケース
持ち家が数字で有利でも、賃貸を選ぶ合理的な理由があります。
- 介護・施設入居の可能性が高い:空き家を抱えたまま施設費を払う「二重コスト」が最大のリスクです。
- 子どもがいない・相続先が不在:死後に不動産が負動産になるケースは珍しくありません。
- 築古マンションで修繕積立不足が深刻:管理組合の財政状態は購入前に必ず確認が必要です。
- 心身の変化に備えてバリアフリー賃貸に移りたい:持ち家はリフォームが別費用です。
60代おひとりさまへ、遠藤の結論
完済後の持ち家は「月3〜5万円で住める資産」ですが、老後の身体変化・相続・施設リスクを無視すると判断を誤ります。
「コストだけなら持ち家」「自由度と老後リスクなら賃貸」——この軸で自分のライフプランに当てはめてください。 数字と定性リスクを両方乗せてシミュレーションすることが、後悔しない選択の第一歩です。
よくある質問
Q. 完済後のマンション、売って賃貸に引っ越すのは損ですか?
A. 売却益と今後の賃貸コストを比較する必要があります。築年数・エリア・残りの居住年数次第では売却して賃貸転換が合理的なケースもあります。固定資産税の3,000万円特別控除(マイホーム売却時の特例)も活用できるか確認しましょう。
Q. 修繕積立金が値上がりしたら管理組合に抗議できますか?
A. 値上げは管理組合の総会決議で決まります。区分所有者として議決権を行使する権利はありますが、建物維持に必要な積立は基本的に認められます。長期修繕計画書で10年後の金額を事前に確認することが重要です。
Q. 60代で賃貸を借りようとすると断られませんか?
A. 単身高齢者の入居審査は確かに厳しくなる傾向があります。URや公社住宅は保証人不要・年齢制限なしのケースが多く、選択肢として有力です。民間でも家賃保証会社の利用で通りやすくなる場合があります。
Q. 固定資産税は何歳になっても払い続けるのですか?
A. 持ち家がある限り払い続けます。施設に入居して自宅が空き家になっても課税は継続されます。ただし一定条件を満たす「特定空き家」に指定されると住宅用地特例が外れ、税額が最大6倍になるリスクもあります。



