
「売れない=相場が悪い」は、会社に都合のいい言い訳だ
3か月前から売り出しているのに、内覧がほぼゼロ。 先日ご相談に来られた40代のご夫婦は、そう打ち明けながらため息をついた。 「やっぱり今は市況が悪いんですかね」――違う。犯人は市況ではなかった。
媒介を任せた不動産会社が、他社からの問い合わせを意図的にブロックしていた。 これが「囲い込み」だ。業界の人間はみんな知っている。でも売主には言わない。

囲い込みとは何か?30秒で理解する収益の歪み
仲介手数料の上限は「売買価格×3%+6万円(税別)」、400万円超の物件の場合だ(宅地建物取引業法第46条)。 これは売主側・買主側それぞれから受け取れる。つまり両手仲介が成立すれば、会社の取り分は片手の2倍になる。
| 仲介形態 | 手数料の入り方 | 会社の収益 |
|---|---|---|
| 両手仲介 | 売主+買主 双方から | 最大2倍 |
| 片手仲介 | 売主 or 買主 どちらか | 標準 |
ここで問題が起きる。他社が買主を連れてきたら「片手」になる。 だから「自社で買主を見つけるまで、他社には渡さない」という強烈なインセンティブが生まれる。 これが囲い込みの本質だ。あなたの利益より、会社の利益が優先されている。

「ちゃんとレインズに載ってます」は言い訳になる
宅建業法第34条の2は、専任・専属専任媒介契約を結んだ会社に対し、指定流通機構(レインズ)への登録と、照会への誠実な対応を義務づけている。
ところが実態はこうだ。登録はする。でもステータスを「案内中」「交渉中」にして他社からの問い合わせを弾く。 国土交通省もこの手口を問題視しているが、「違法」と明確に断言しにくいグレーゾーンを突いてくる。
先ほどのご夫婦の物件も、レインズには登録されていた。でも問い合わせへの対応が著しく鈍かった。 媒介契約を切り替えて2週間後、複数の内覧希望が立て続けに入った。 市況は何も変わっていない。変わったのは、情報が本当に市場に流れるようになったことだけだ。
自分で囲い込みを見抜く3つのチェック
① レインズの登録証明書を受け取る 売主には交付を求める権利がある。専任・専属専任媒介では会社に交付義務がある。まず請求してみよう。
② ポータルサイトを自分で検索する SUUMO・HOME'Sなど複数サイトに自分の物件が出ているか確認する。掲載がない、または情報が薄いなら要注意だ。
③ 「専任」なら特に疑う目を持つ 一般媒介なら複数社に依頼できるため情報が広がりやすい。専任・専属専任は会社に独占権を与える契約だ。それだけに会社の誠実さが直接、売却結果に直結する。
「売れない」と感じた瞬間が、疑うタイミングだ
売却を任せた途端、情報はブラックボックスになりやすい。 内覧が来ない理由を「相場」「季節」「立地」で説明されたら、一度立ち止まってほしい。 本当の原因が囲い込みなら、会社を変えるだけで状況は一変する。
よくある質問
Q. 囲い込みは違法ですか? A. 明確に違法とは断言しにくいグレーゾーンだ。ただし宅建業法が定めるレインズへの誠実対応義務に反する行為として、国土交通省も問題視している。
Q. 両手仲介自体は問題ですか? A. 両手仲介そのものは違法ではない。問題は情報を意図的に遮断する行為だ。透明性を保ちながら両手が成立するケースは適法な取引だ。
Q. 一般媒介にすれば解決しますか? A. 囲い込みリスクは下がる。ただし各社の積極性が分散するデメリットもある。会社の質を見極めることが先決だ。
Q. 内覧ゼロが続いたら何日目に動くべきですか? A. 目安は4〜6週間。それを過ぎても問い合わせがゼロなら、価格より先に「情報が流れているか」を疑ってほしい。
