
結論:繰り上げ返済する前に「数字」を確かめてから動く
夏ボーナスが入ると「とりあえず繰り上げ返済」したくなりますよね。 でも返済額シミュレーションを先に走らせないと、NISAに回したほうが数十万円有利だったというケースが珍しくありません。 まず「繰り上げるといくら利息が減るか」を数字で出す。それが全ての判断の起点です。

ボーナス時の繰り上げ返済で返済額はいくら変わる?
返済期間短縮型なら利息削減効果が最大になりやすい。
例として、以下の条件でシミュレーションしてみます。
| 条件 | 数値 |
|---|---|
| 残債 | 3,500万円 |
| 残り返済期間 | 28年 |
| 金利(変動) | 年0.475% |
| 繰り上げ返済額 | 100万円 |
- 期間短縮型:約8ヶ月短縮、利息削減額は約5.5万円
- 返済額軽減型:毎月の返済額が約250円下がる
金利が低い今の変動ローンでは、利息削減効果は意外と小さいのが実態です。

共働き世帯がとくに注意すべき「金利タイプ別」の判断軸
変動金利か固定金利かで、繰り上げ返済の優先度は大きく変わる。
| ローンタイプ | 繰り上げ返済の優先度 | 理由 |
|---|---|---|
| 変動(0.5%前後) | 低め | NISAの期待リターンが上回りやすい |
| 固定(1.8〜2.5%) | 中〜高 | 確実な「利息削減」効果が大きい |
| ペアローン(2本立て) | 要整理 | 一方だけ繰り上げると団信・控除の設計が崩れる |
ペアローンとは、夫婦それぞれが別々のローンを組む借り方です。 2本立てのため、片方だけ繰り上げると住宅ローン控除(年末残高の0.7%が税額控除)のバランスが崩れる場合があります。
「繰り上げ vs NISA」ではなく「繰り上げ額の配分」で考える
先日ご相談に来られた30代の共働きのご夫婦は、ボーナス計200万円の使い道で悩まれていました。 変動金利0.475%・残債3,800万円で、「全額繰り上げ返済すべきか」と聞かれましたが、 住宅ローン控除の適用が残り7年あり、繰り上げで残債を減らしすぎると控除額も下がる点を見落としていました。
最終的には50万円を期間短縮型の繰り上げ返済、残り150万円をNISA成長投資枠に配分する形で整理しました。 「全か無か」ではなく配分比率で考えるのが共働き世帯には合っています。
住宅ローン控除との関係を確認する
残債が多いほど控除額が大きいので、繰り上げ前に控除シミュレーションも必須。
住宅ローン控除とは、年末のローン残高×0.7%が所得税・住民税から引かれる制度です(2022年以降入居分)。
- 残債3,500万円 → 年間最大24.5万円の控除
- 繰り上げ返済で残債が3,000万円になると → 年間最大21万円に減少
- 差額の年3.5万円 × 残り控除年数 が実質コスト
控除期間中は「利息削減 vs 控除減少」の両方を比べてから判断してください。
よくある質問
Q. ボーナス払い設定のあるローンで、繰り上げ返済と通常返済どちらが得ですか?
A. ボーナス払い設定は当初から組んだ「分割返済」で、繰り上げ返済は追加で元本を減らす別の行為です。利息削減効果は繰り上げ返済(元本充当)のほうが大きく、ボーナス払い比率を下げて繰り上げに回す方が有利になるケースが多いです。
Q. 変動金利が上がったら繰り上げ返済を急ぐべきですか?
A. 金利上昇で利息削減効果は高まりますが、NISAへの追加投資の機会コストとの比較は引き続き必要です。金利が1%を超えてきたら繰り上げの優先度を上げる目安にしてください。
Q. ペアローンの場合、繰り上げ返済は夫婦どちらのローンにすればいい?
A. 所得の多い方のローンを減らすと住宅ローン控除の恩恵が大きく削られる場合があります。収入・控除残年数・金利の条件を比べてから決めるのが原則です。
Q. 繰り上げ返済の手数料はかかりますか?
A. ネット銀行では無料が主流ですが、一部の銀行では固定金利期間中に繰り上げると手数料が発生します。契約書または銀行のウェブサイトで確認してから実行してください。



