
「金利差1%ルール」を今も信じているなら、それが損の元凶だ
「まだ1%も差がないから様子見で」——そう言って相談を先送りにしていた方が、3年後に「もっと早く来ればよかった」と悔やむ場面を、私は何度も見てきた。
金利差1%という目安は、変動金利が2〜3%台だった時代の話だ。今の最低水準は年0.3〜0.5%台。その基準をそのまま当てはめると、あなたはずっと動けないまま利息を払い続けることになる。
借り換えの判断基準は「金利差0.5%以上・残高1000万円以上・残期間10年以上」。この3つが揃えば、諸費用を払っても元が取れる可能性が高い。

借り換えにかかるコストを先に把握する
「シミュレーションで得と出たのに、実際やったら損だった」——これは諸費用を甘く見た典型例だ。
| 費用項目 | 目安 |
|---|---|
| 新ローンの事務手数料 | 借入額×2.2%(定率型)または数万円(定額型) |
| 抵当権抹消・設定費用 | 合計3〜5万円程度 |
| 司法書士報酬 | 5〜10万円程度 |
| 繰上返済手数料(現ローン) | 0〜数万円 |
| 合計目安 | 30〜80万円程度 |
定率型手数料を選ぶと、残高2000万円で約44万円。これが「回収できる差額か」が、すべての判断軸になる。月々の削減額で割れば、回収年数が出る。そこから先は純粋な利益だ。

実際の数字で見る「得・損」の分かれ目
先日ご相談に来られた30代ご夫婦のケース。残高2200万円、残期間28年、現行金利1.15%(変動)。借り換え先は0.475%(変動)で、金利差は約0.67%だった。
シミュレーションの結果、月々の返済が約8000円減、年間で約9.6万円の削減。諸費用は約55万円だったので、回収期間は約6年。残期間28年のうち22年分は丸ごと得になる計算で、すぐに実行した。
一方で「残高500万円未満・残期間10年未満」の方が同じ金利差で相談に来たとき、私は正直に「今回は見送りが正解です」と伝えた。諸費用が削減効果を上回るからだ。借り換えは「できるかどうか」より「やる価値があるかどうか」を先に計算する。
固定から変動への借り換え、怖いのは感覚だけかもしれない
「金利上昇リスクが怖くて踏み切れない」——その気持ちは理解できる。ただ、感覚で止まっているのは損だ。
固定1.5〜2%台から変動0.5%台に切り替えると、年間で十数万円の差が出ることは珍しくない。重要なのは「金利が何%上がった時点で損に転じるか」を数値で把握することだ。その損益分岐点を知れば、恐怖は半分になる。シミュレーションは感情の解毒剤だ。
タイミングの正解は「思い立った今日」
残期間20年と10年では、同じ金利差でも効果が倍近く違う。「もう少し様子を見てから」という一言が、実は最もコストの高い判断になりがちだ。
借り換えメリットは残期間が長いほど大きく育つ。金利差0.5%以上に心当たりがあるなら、諸費用込みのシミュレーションを今すぐ動かしてほしい。
よくある質問
Q. 借り換えは何度でもできますか?
A. 回数の制限はありませんが、そのたびに30〜80万円の諸費用が発生します。「メリットが確実に出るタイミングだけ動く」が鉄則です。
Q. 変動に借り換えた後、金利が上がったらどうすればいい?
A. 繰上返済で残高を減らす、または再度固定に切り替える、の2択です。借り換え前に「金利が何%になったら再検討するか」の基準を決めておくと慌てずに済みます。
Q. 借り換え審査で落ちることはありますか?
A. あります。健康状態(団信審査)や収入・信用情報が変化していると否決になるケースも。審査通過率を上げるには、複数の金融機関に並行して打診するのが有効です。
Q. 金利差が0.3%でも借り換えを検討すべきケースはありますか?
A. 残高3000万円以上・残期間20年超なら、0.3%差でも諸費用を上回るメリットが出やすいです。残高が大きいほど判断基準の「金利差」は下がります。

