
結論:「所得の見え方」で選択肢は変わる
個人事業主の住宅ローンは、フラット35のほうが審査を通過しやすいケースが多い。 ただし「節税しすぎた確定申告」には落とし穴があるので、最後まで読んでほしい。

銀行とフラット35、審査基準はどこが違う?
銀行の審査は「融資担当者の裁量」が大きく、内部基準が非公開。 フラット35(住宅金融支援機構)は申込要件が公開されており、直近2年の確定申告所得が基準になる。
| 比較項目 | 銀行(民間) | フラット35 |
|---|---|---|
| 所得の判定 | 内部基準・裁量あり | 直近2年の平均所得(申告ベース) |
| 営業年数の目安 | 3年以上を求める銀行が多い | 原則2年以上 |
| 金利タイプ | 変動・固定・固定期間選択 | 全期間固定のみ |
| 審査の透明性 | 低い(非公開) | 高い(要件公開) |
| 保証料 | 多くの場合必要 | 不要(代わりに金利に込み) |

「節税しすぎ」が最大の落とし穴
先日、開業5年目のフリーランスの方からご相談がありました。 年商800万円あるのに、経費を積み上げた結果、課税所得が200万円台。 その状態でフラット35に申し込んだところ、借入可能額が想定の半分以下になってしまっていました。
フラット35の返済負担率(返済額÷年収)の上限は、所得400万円未満で30%以下、400万円以上で35%以下(※税込年収ではなく申告所得が基準)。 節税は大切ですが、ローンを組む1〜2年前から所得の「見せ方」を整えるのが鉄則です。
どちらを選ぶべきか、3つの判断軸
① 申告所得が300万円以上確保できているか → できている:フラット35が有力。安定した全期間固定で計画が立てやすい。 → できていない:銀行も難しい。まず所得整備が先。
② 営業年数は何年か → 2年以上:フラット35の対象内。 → 1年未満:どちらもほぼ不可。2年待つか、配偶者名義を検討。
③ 金利上昇リスクをどう見るか → 変動金利の低さを活かしたい:銀行の変動型も選択肢。ただし審査通過後も毎年の収入変動リスクを自分で管理する必要がある。
銀行が有利になる例外ケース
銀行でも通りやすくなる条件は2つある。
- 自己資金が物件価格の20〜30%以上ある場合
- 配偶者(会社員)とのペアローン・収入合算を使う場合
この場合は変動金利の低さを活かせるため、総支払額でフラット35を下回ることも十分ある。
まとめ
個人事業主の住宅ローンで「どっちが通りやすいか」という問いへの答えは、フラット35が基準を出しやすい、が正解。 ただし節税で所得を圧縮しすぎると、フラット35でも借入可能額が伸びない。 ローンを視野に入れた瞬間から、確定申告の組み方をFPと一緒に設計することが、遠回りに見えて一番の近道です。
よくある質問
Q. 開業1年目でも住宅ローンは組めますか?
A. フラット35は原則2年以上の申告実績が必要で、1年目は対象外になるケースがほとんどです。銀行も同様に厳しく、共働きの場合は配偶者単独またはペアローンへの切り替えを検討するのが現実的です。
Q. 確定申告の所得はどの数字が使われますか?
A. フラット35では「課税される所得金額」ではなく、**所得金額(収入から必要経費を引いた額)**が基準になります。青色申告特別控除(最大65万円)を引いた後の数字なので、控除前に計算を確認してください。
Q. フラット35と銀行の変動、どちらが総支払額で安い?
A. 現時点では銀行の変動金利のほうが金利水準は低いですが、全期間固定のフラット35は将来の金利上昇リスクがゼロです。自営業は収入が不安定になりやすいため、「安定性」を優先するならフラット35、自己資金が厚く繰り上げ返済できる見通しがあるなら変動型も有力です。
Q. 法人化すれば審査は有利になりますか?
A. 法人代表者として役員報酬を「給与所得」として申告できるため、銀行審査では個人事業主より通りやすくなる場合があります。ただし法人設立後2〜3年の決算実績が求められることが多く、設立直後には効果が出にくい点に注意が必要です。



