
「買った方がトク」という通説、50代おひとりさまには当てはまらない
「家賃を払い続けるのはもったいない」——その言葉、何度耳にしたことがありますか。 でも正直に言います。50代おひとりさまにとって、それは半分しか正しくない。
持ち家の「元が取れる」まで20〜30年かかります。 55歳で購入すれば、損益分岐点は75〜85歳です。 その前に「いつまで・どこに住むか」が変わる可能性を、あなたは計算に入れていますか?

賃貸と持ち家、30年間のコストを並べてみると
「数字で見れば一目瞭然」とよく言われますが、その数字を都合よく見せてくる人に注意してください。 両方の不利な面を並べると、こうなります。
| 項目 | 賃貸(家賃7万円) | 持ち家(2,500万円購入) |
|---|---|---|
| 30年間の住居費合計 | 約2,520万円 | 約3,200〜3,600万円※ |
| 住み替えの自由度 | 高い | 低い |
| 修繕・維持費 | 大家負担が多い | 自己負担(30年で300〜600万円) |
| 70代以降「住めなくなる」リスク | 高い | ほぼなし |
| 資産として残るか | 残らない | 残る(ただし売れるとは限らない) |
※ローン総返済+固定資産税+修繕費の合算目安
支払い総額では持ち家が高くなりやすい。 それでも「住めなくなるリスク」という一点で、賃貸は圧倒的に不利なのです。

50代のローンは「数字上は通る」が落とし穴
多くの金融機関が完済年齢の上限を80歳に設定しています。 55歳で組んでも、25年・80歳完済は「審査上は」問題ありません。 ただし、退職後の収入でローンを払い続けられるかどうかは、まったく別の話です。
先日ご相談に来られた54歳の女性の話をします。 2,800万円の中古マンションを検討中で、退職金を頭金に入れ残り1,500万円をローンに充てる計画でした。 試算すると月返済は約5.5万円。年金受給後の手取りでカバーできる水準だったため、このケースは「持ち家あり」と判断しました。
ただしこれは、退職金があり・年金見込みが一定以上あったからこその結論です。 退職金が少ない・年金が低い方に、同じ答えは出ません。
賃貸を続けるなら「70代の自分」を今から守れ
賃貸派が絶対に直面するのが、70代以降に部屋を借りにくくなる問題です。 孤독死リスクを理由に断る大家は今も多く、保証人なし・収入が年金のみでは審査が通らないケースが出てきます。
元気なうちに手を打てる対策は3つあります。
- UR賃貸住宅を選択肢に入れる(保証人・仲介手数料が不要で、高齢者でも入居しやすい)
- 家賃債務保証会社に早めに登録する(審査が通りやすい現役のうちに済ませる)
- 「住み替え資金」を資産の一部として確保する(NISAなどで家賃7万円×30年=約2,500万円を積み立てる設計)
賃貸を選ぶことは「逃げ」ではありません。ただし、備えなき賃貸は単なるリスクの先送りです。
遠藤の結論:感情で決めるな、数字で決めろ
退職金+年金でローン返済が無理なく回るなら、持ち家を真剣に検討する価値があります。 そうでないなら、賃貸継続+資産運用で「老後の住居費を現金で持つ」設計の方が安全です。
「なんとなく家を買いたい」でも「なんとなく賃貸でいい」でもなく、 一度、数字を並べてライフプランをシミュレーションしてみてください。 その作業が、あなたの老後を10年単位で変えます。
よくある質問
Q. 50代で持ち家を買った場合、相続はどうなりますか?
A. おひとりさまで法定相続人がいない場合、遺産は国庫に帰属することがあります。信頼できる人への遺贈や死後事務委任契約を、購入と並行して検討してください。
Q. UR賃貸は誰でも入れますか?
A. 月収が家賃の4倍以上などの所得基準はありますが、保証人不要・年齢制限なしです。老後の賃貸リスクを減らす有力な選択肢です。
Q. 50代でも住宅ローン控除は受けられますか?
A. 2024年以降も住宅ローン控除は継続しており、控除期間13年または10年の適用は可能です。ただし所得によっては控除しきれない年が出るため、事前に税額シミュレーションを行うことが重要です。
Q. 賃貸のまま老後を迎える場合、いくら備えれば足りますか?
A. 家賃7万円で30年なら約2,520万円。NISAを活用して「住居費専用の積み立て」を現役のうちに作るのが、最も現実的な設計です。



