
結論:借り換えは「残債・残年数・家計の余裕」で決まる
固定への借り換えが有利になりやすいのは、残債2,000万円以上・残年数15年以上・月返済の上振れ余地が薄い世帯です。 それ以外の条件なら、変動のまま繰り上げ返済を加速させる方が総支払いを抑えられる場合も多い。

変動金利は今後どうなる?現状を整理する
日銀は2024年以降、政策金利を段階的に引き上げています。 政策金利(=日銀が銀行間で資金を貸し借りする際の基準金利)が上がると、 変動型住宅ローンの「短期プライムレート」が連動して上昇し、返済額が増えます。
2025年時点で変動の基準金利は多くの銀行で年2.4〜2.6%台(優遇後0.3〜0.5%台)。 市場では今後1〜2年でさらに0.25〜0.5%程度の追加利上げが織り込まれています。

変動 vs 固定、今から借りたらどっちが得?
現時点(2025〜2026年)では、固定の金利水準も上昇しており「固定が割安」とは言い切れません。
| 項目 | 変動金利 | 固定金利(35年) |
|---|---|---|
| 現在の実質金利目安 | 0.3〜0.6%台 | 1.7〜2.1%台 |
| 追加利上げの影響 | 直接受ける | 受けない |
| 向こう35年の総支払い予測 | 金利次第で上下 | 契約時点で確定 |
| 向いている人 | 繰り上げ余力がある・残年数短い | 家計の「予測可能性」を優先したい |
変動が固定の総支払いを超えるには、政策金利がさらに1.5%以上上昇する必要があるという試算もあります。 ただし「上がらない」という保証もないため、精神的なゆとりも判断材料です。
借り換えを検討すべき人・しなくていい人
借り換えを検討すべき人
- 残債が2,000万円以上で残年数が15年以上ある
- 月返済が5,000円以上増えると家計が苦しくなる
- 変動金利で返済額が上がった場合の「最悪シナリオ」を考えると眠れない
変動のままでよい人
- 残債が1,000万円以下、または残年数が10年以内
- 月3〜5万円の繰り上げ返済を継続できる余力がある
- 固定への借り換えコスト(手数料・保証料)を回収できる年数が残っていない
実際の相談事例
先日ご相談に来られた30代の共働きご夫婦。 変動0.475%・残債2,800万円・残年数28年という条件でした。
シミュレーションすると、政策金利が今後2%まで上昇した場合、 月返済は現在より約2.5万円増加。教育費が重なる時期と重なるため家計が圧迫される試算に。
固定1.9%への借り換えコスト(繰り上げ返済型)は約85万円。 10年で回収できる計算になったため、「家計の安心」を優先して借り換えを選ばれました。 金利の正解よりも**「家計のバッファ(緩衝余地)を守る」ことが最優先**というのが、この判断の軸でした。
借り換えの手順と注意点
- 現在の残債・残年数・金利を書き出す
- 借り換え先の総返済額と諸費用を試算する(諸費用は借入額の1〜2%が目安)
- 損益分岐点(コスト回収年数)を確認する(一般的に「3年以内に回収できる差額」が目安)
- 審査・契約(2〜3ヶ月かかる場合もある)
注意点:固定への借り換えは金利が確定する今の金利水準が分岐点です。 利上げが進んでからでは、固定金利も上昇して「タイミングを逃した」になりかねません。
まとめ
変動か固定かの問いに「どちらが絶対得」という答えはありません。 ただし、残債・残年数・家計の余裕の3つで整理すれば、あなたに合う答えは出せます。 「金利が上がりそう」という不安だけで飛びつかず、数字を使って冷静に判断することが大切です。
よくある質問
Q. 変動金利はいつ上がるの? A. 日銀の政策決定会合(年8回)のたびに変わる可能性があります。住宅ローンへの反映は銀行によって異なりますが、通常は短期プライムレート変更後の翌月以降に適用されます。
Q. 借り換えの諸費用はどのくらいかかる? A. 一般的には新しい借入額の1〜2%程度(保証料・登記費用・事務手数料など)が目安です。2,000万円の借り換えなら20〜40万円前後が多い。
Q. 固定に借り換えたあと、また変動に戻せる? A. 可能ですが、再度の諸費用がかかります。「一度固定にしたら基本はそのまま」という前提でシミュレーションするのが現実的です。
Q. 変動金利のまま繰り上げ返済するのと、固定に借り換えるのはどちらが有利? A. 残年数・残債・繰り上げ余力によって異なります。繰り上げ余力が月3万円以上ある場合、変動+繰り上げが有利になりやすいケースも多いです。

