
「固定に借り換えないとヤバい」は、半分だけ本当
利上げのニュースが続くたびに「変動のまま大丈夫?」と不安になる。その気持ちはわかる。でも断言します。残債1,000万円以下・残年数10年以内なら、固定への借り換えは費用倒れになるケースが大半です。焦りで動く前に、3つの数字を確認してください。

変動金利は今後どうなる?2026年時点の現実
日銀は2024年以降、政策金利を段階的に引き上げてきました。政策金利が上がると変動型住宅ローンの「短期プライムレート」が連動し、返済額が増えます。2025年時点で変動の基準金利は多くの銀行で年2.4〜2.6%台(優遇後0.3〜0.5%台)。市場では今後1〜2年でさらに0.25〜0.5%程度の追加利上げが織り込まれています。
「じゃあ早く固定に逃げなきゃ」と思いましたか?ちょっと待ってください。固定金利も同時に上昇しているという事実を忘れてはいけません。

変動 vs 固定、数字で並べると見えてくるもの
| 項目 | 変動金利 | 固定金利(35年) |
|---|---|---|
| 現在の実質金利目安 | 0.3〜0.6%台 | 1.7〜2.1%台 |
| 追加利上げの影響 | 直接受ける | 受けない |
| 向こう35年の総支払い | 金利次第で上下 | 契約時点で確定 |
| 向いている人 | 繰り上げ余力がある・残年数短い | 家計の予測可能性を優先したい |
変動の総支払いが固定を超えるには、政策金利がさらに1.5%以上上昇する必要があるという試算があります。「上がらない」保証もないのは事実ですが、「上がる」保証もない。精神的なゆとりも、れっきとした判断材料です。
あなたはどっち?5秒で分かる判断基準
借り換えを真剣に検討すべき人
- 残債が2,000万円以上で残年数が15年以上ある
- 月返済が5,000円以上増えると家計が苦しくなる
- 金利上昇の「最悪シナリオ」を想像すると眠れない
変動のまま繰り上げ返済を加速すべき人
- 残債が1,000万円以下、または残年数が10年以内
- 月3〜5万円の繰り上げ返済を続けられる余力がある
- 借り換えコスト(手数料・保証料)の回収年数が残っていない
相談現場でこんな夫婦がいました
30代の共働き夫婦。変動0.475%・残債2,800万円・残年数28年という条件で来られました。シミュレーションすると、政策金利が2%まで上昇した場合、月返済は現在より約2.5万円増加。子どもの教育費が重なる時期と重なり、家計が一気に圧迫されます。
固定1.9%への借り換えコストは約85万円。10年で回収できる計算だったので、「家計の安心」を優先して借り換えを選ばれました。金利の正解より、家計のバッファ(緩衝余地)を守ることが最優先。この判断軸は、どんな相談でも変わりません。
借り換えを決めたら、この順番で動く
- 現在の残債・残年数・金利を書き出す
- 借り換え先の総返済額と諸費用を試算する(諸費用は借入額の1〜2%が目安)
- 損益分岐点(コスト回収年数)を確認する(3年以内に回収できるかが目安)
- 審査・契約(2〜3ヶ月かかる場合もある)
ひとつ強調しておきます。固定への借り換えは今の固定金利水準が分岐点です。利上げが進んでから「そろそろ固定に」と動いても、その時点で固定金利も上がっています。タイミングを逃すとはそういう意味です。
結論:「不安」は数字に変換してから動く
変動か固定かに「絶対の正解」はありません。ただし、残債・残年数・家計の余裕という3つの数字を揃えれば、あなたに合う答えは必ず出せます。「上がりそうだから」という感覚だけで飛びつかず、まず自分の数字を紙に書いてみてください。
よくある質問
Q. 変動金利はいつ上がる? A. 日銀の政策決定会合(年8回)のたびに変わる可能性があります。住宅ローンへの反映は銀行によって異なりますが、通常は短期プライムレート変更後の翌月以降に適用されます。
Q. 借り換えの諸費用はいくらかかる? A. 新しい借入額の1〜2%程度(保証料・登記費用・事務手数料など)が目安です。2,000万円の借り換えなら20〜40万円前後が多い。
Q. 固定に借り換えた後、また変動に戻せる? A. 可能ですが、再度の諸費用がかかります。「一度固定にしたら基本はそのまま」という前提でシミュレーションするのが現実的です。
Q. 変動のまま繰り上げ返済するのと、固定に借り換えるのはどちらが有利? A. 残年数・残債・繰り上げ余力によって異なります。繰り上げ余力が月3万円以上ある場合、変動+繰り上げが有利になりやすいケースが多いです。



