
結論から言います:教育費の積み立てはNISAが有利なケースが多い
ただし「全員にNISAだけでOK」とは言いません。 家庭の状況によって、学資保険にしか取れないリスク対策があるからです。 この記事で整理して、あなたが選ぶための判断軸を渡します。

学資保険の返戻率は「お得」と言えるのか?
返戻率100〜105%前後では、インフレ・機会損失を考えると実質マイナスになりやすい。
返戻率とは「払った保険料に対して受け取る総額の割合」のことです。 2026年現在、主力商品の多くは返戻率が100〜106%程度に留まります。
18年間お金を預けて、増える額が払込総額の6%以内——。 年率換算すると0.3%前後のリターンにしかなりません。
インフレが年1〜2%続く環境では、実質的な購買力は下がります。 「安心感」は買えますが、「増やす」機能はほぼないと理解してください。

NISAで教育費を積み立てるとどうなる?
つみたてNISAの想定利回り(年3〜5%)では、18年後に学資保険の1.5〜2倍前後になりうる。
NISAの利益は非課税です。 通常、投資の利益には約20%の税金がかかりますが、NISAではゼロ。
月1万円を18年間、年4%で運用できた場合のイメージ:
| 手段 | 積立総額 | 受取目安 | 実質増加額 |
|---|---|---|---|
| 学資保険(返戻率103%) | 216万円 | 約223万円 | 約7万円 |
| NISA(年4%想定) | 216万円 | 約290万円 | 約74万円 |
※NISAの数値は複利計算の一例。運用成果を保証するものではありません。
NISAの「元本割れリスク」はどう考える?
短期では元本割れも起きる。ただし15〜18年の長期積立なら過去データ上リスクは大幅に低減する。
元本割れとは「投資した金額より受取額が下回る」状態です。
短期(1〜3年)では株式市場の下落で元本割れが十分あり得ます。 しかし18年という時間軸で世界株インデックスに積み立てた場合、 長期になるほどマイナスになる確率は統計上低くなる傾向があります。
ここで一つ、実際の相談例を紹介します。 先日ご相談に来られた30代共働きのご夫婦は、保険営業から「元本割れしないから安心」と学資保険を勧められた直後でした。 「NISAは怖い」という印象を持っていましたが、 「第一子が3歳なら運用期間は15年以上取れる」と整理したところ、 NISAでの積立を選択されました。
学資保険が「アリ」な人の条件
死亡保障が必要+投資が苦手で解約してしまいそうな人には、学資保険の「強制力」に価値がある。
学資保険には契約者(親)が死亡・高度障害になった場合に以後の保険料が免除される機能があります。 (これを「保険料払込免除特約」といいます)
掛け捨て死亡保険で同様の保障を別途準備できるなら、保障目的で学資保険を選ぶ必要は薄くなります。
学資保険が向いているケース:
- 投資経験がなく、相場の下落で解約してしまうリスクが高い
- 子どもの進学時期が5年以内など運用期間が短い
- 夫婦どちらかの死亡保障が手薄で一体で備えたい
2026年版・結論まとめ
| 比較軸 | 学資保険 | NISA |
|---|---|---|
| 増やす力 | 低い(年率0.3%前後) | 高い(年率3〜5%想定) |
| 元本割れリスク | なし | あり(長期で低減) |
| 税優遇 | なし(実質課税済み) | 非課税 |
| 死亡保障 | あり | なし |
| 途中解約 | 元本割れリスクあり | いつでも売却可 |
15年以上の時間が取れる子育て世帯なら、NISAを教育費の主軸にする方が資産形成上は合理的です。 学資保険は「保障」を目的に、ごく限定的に使うのが現時点での私の結論です。
よくある質問
Q. 学資保険はすでに加入しています。今からNISAに切り替えるべきですか?
A. 解約返戻金が払込総額を大幅に下回る時期は、解約で確実に損が出ます。 現契約の解約返戻金推移表を確認し、損益分岐点を過ぎてからNISAへ移行するかを判断してください。 急ぐ必要はありません。
Q. NISAで積み立てたお金を大学入学時に売ると、相場次第では足りないことがありますか?
A. あります。入学の1〜2年前から現金や定期預金に少しずつ移す「ゴールドゾーン戦略」が有効です。 全額をギリギリまでNISAで持ち続けるのは避けましょう。
Q. 学資保険の返戻率が110%を超える商品なら得ですか?
A. 返戻率が高い商品は払込期間が短く月々の保険料が高い設計が多いです。 同じ金額をNISAに回した場合との比較を必ず試算してから判断してください。 返戻率の数字だけで判断しないことが重要です。
Q. 教育費はいくら準備すれば十分ですか?
A. 文部科学省の調査では、大学4年間(国公立・自宅通学)で約250万円、私立理系・下宿で700万円超になるケースもあります。 進路の幅を持たせるなら、まず300〜500万円を目安に積み立て計画を立てるのが現実的です。
